>>386【滋賀】行政代執行で解体へ 老朽化激しい空き家マンション2019年5月23日 滋賀県野洲市にある老朽化が激しい空き家の分譲マンションで、市が行政代執行で解体に踏み切る事態となっている。所有者全員が合意して自分たちで解体するのが本来だが、一部の所有者と連絡がつかないなどで長年、危険な状態で放置されており、市が代執行を決めた。分譲マンションの代執行による解体は極めて珍しいが、今後は、同様のケースが増えると懸念されている。 (河郷丈史) トラックや乗用車がせわしなく行き交う道路沿いに、廃虚のような建造物がたたずむ。一九七二年築の鉄骨三階建て「美和コーポB」。外壁が崩れ、鉄骨に吹き付けられたアスベストが露出し、階段の踊り場は床が抜け落ちている。あちらこちらに植物が生い茂り、敷地内はごみだらけ。風が吹くたびに「ガラッ、ガラッ」と部材の一部が崩れ落ちる音が響いた。 市によると、美和コーポは全九戸で、十年以上前から空き家になっている。管理組合がなく、管理されないまま荒れ放題となっていた。すぐ隣には民家もあり、近隣住民に危険が及ぶ恐れがあることから、市は昨年九月に空き家対策特別措置法に基づく特定空き家に指定した。 分譲マンションは建て替えの場合、所有者の五分の四以上の賛成でできる。解体でも、被災した物件や耐震性が不足した物件なら、五分の四以上の賛成で可能だが、それ以外は、全員の同意が原則。しかし、美和コーポでは、所有者の一部と連絡が取れなかったり、実体のない会社の名義だったりで、全員の合意は不可能だった。所有者代表の男性(75)は「自分たちで解体しなければならないと思っているが、どうにもならない」と話す。 市は建物の解体とアスベストの処理を合わせた費用として五千万円程度を見込み、十一月にも工事に取り掛かりたい考えだ。代執行の費用は所有者らに請求するが、管理組合がないため積立金はゼロ。どれだけ回収できるかは分からない。 山仲善彰市長(68)は「すべての所有者の合意形成ができない場合、危険な建物を除去するには代執行という手段を使わざるを得ず、税金で負担することになる。こんなことをしていていいのか。区分所有のマンションの法整備を、もっときちんと詰めるべきだ」と話している。◆「解体要件の緩和が必要」 国土交通省の推計によると、築四十年超の分譲マンションは二〇一七年末の約七十三万戸から二十年後の三七年には約五倍の約三百五十二万戸になると見込まれる。管理組合が機能していない「管理不全マンション」も各地で問題化している。「限界マンション」などの著書がある民間シンクタンク「シンクダイン」研究主幹の米山秀隆さん(55)は「今後、マンションの『終活』が大きな課題になる」と指摘する。 そこで、解体も建て替えなどと同様に、所有者の五分の四以上の賛成でできるとするべきだとする。所有者が行方不明になるなどで、五分の四にも届かない事例が多いようなら「さらにハードルを下げていく方向になるかもしれない」とみる。 また、「解体して土地を売るにしても、解体費用を回収できる見込みがなければ反対が出てくる」として、マンション購入段階で、所有者があらかじめ解体費用を供託するといった仕組みが必要だと訴える。<空き家対策特別措置法> 管理が不十分で周囲に悪影響を与えている空き家への対策として、2015年に施行された。倒壊の恐れがあったり、景観を著しく損なったりしている空き家を市町村が「特定空き家」に指定し、所有者に対して「指導・助言」「勧告」「命令」と段階を踏んで改善を求め、応じなければ代執行で撤去できる。 https://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201905/CK2019052302000179.html
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【滋賀】行政代執行で解体へ 老朽化激しい空き家マンション
2019年5月23日
滋賀県野洲市にある老朽化が激しい空き家の分譲マンションで、市が行政代執行で解体に踏み切る事態となっている。所有者全員が合意して自分たちで解体するのが本来だが、一部の所有者と連絡がつかないなどで長年、危険な状態で放置されており、市が代執行を決めた。分譲マンションの代執行による解体は極めて珍しいが、今後は、同様のケースが増えると懸念されている。 (河郷丈史)
トラックや乗用車がせわしなく行き交う道路沿いに、廃虚のような建造物がたたずむ。一九七二年築の鉄骨三階建て「美和コーポB」。外壁が崩れ、鉄骨に吹き付けられたアスベストが露出し、階段の踊り場は床が抜け落ちている。あちらこちらに植物が生い茂り、敷地内はごみだらけ。風が吹くたびに「ガラッ、ガラッ」と部材の一部が崩れ落ちる音が響いた。
市によると、美和コーポは全九戸で、十年以上前から空き家になっている。管理組合がなく、管理されないまま荒れ放題となっていた。すぐ隣には民家もあり、近隣住民に危険が及ぶ恐れがあることから、市は昨年九月に空き家対策特別措置法に基づく特定空き家に指定した。
分譲マンションは建て替えの場合、所有者の五分の四以上の賛成でできる。解体でも、被災した物件や耐震性が不足した物件なら、五分の四以上の賛成で可能だが、それ以外は、全員の同意が原則。しかし、美和コーポでは、所有者の一部と連絡が取れなかったり、実体のない会社の名義だったりで、全員の合意は不可能だった。所有者代表の男性(75)は「自分たちで解体しなければならないと思っているが、どうにもならない」と話す。
市は建物の解体とアスベストの処理を合わせた費用として五千万円程度を見込み、十一月にも工事に取り掛かりたい考えだ。代執行の費用は所有者らに請求するが、管理組合がないため積立金はゼロ。どれだけ回収できるかは分からない。
山仲善彰市長(68)は「すべての所有者の合意形成ができない場合、危険な建物を除去するには代執行という手段を使わざるを得ず、税金で負担することになる。こんなことをしていていいのか。区分所有のマンションの法整備を、もっときちんと詰めるべきだ」と話している。
◆「解体要件の緩和が必要」
国土交通省の推計によると、築四十年超の分譲マンションは二〇一七年末の約七十三万戸から二十年後の三七年には約五倍の約三百五十二万戸になると見込まれる。管理組合が機能していない「管理不全マンション」も各地で問題化している。「限界マンション」などの著書がある民間シンクタンク「シンクダイン」研究主幹の米山秀隆さん(55)は「今後、マンションの『終活』が大きな課題になる」と指摘する。
そこで、解体も建て替えなどと同様に、所有者の五分の四以上の賛成でできるとするべきだとする。所有者が行方不明になるなどで、五分の四にも届かない事例が多いようなら「さらにハードルを下げていく方向になるかもしれない」とみる。
また、「解体して土地を売るにしても、解体費用を回収できる見込みがなければ反対が出てくる」として、マンション購入段階で、所有者があらかじめ解体費用を供託するといった仕組みが必要だと訴える。
<空き家対策特別措置法> 管理が不十分で周囲に悪影響を与えている空き家への対策として、2015年に施行された。倒壊の恐れがあったり、景観を著しく損なったりしている空き家を市町村が「特定空き家」に指定し、所有者に対して「指導・助言」「勧告」「命令」と段階を踏んで改善を求め、応じなければ代執行で撤去できる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201905/CK2019052302000179.html