>>10【BBC寄稿】 なぜ今? 金正恩氏が核・ミサイル実験を中止表明 全米科学者連盟(FAS)上級研究員のパンダ氏http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-438483362018/04/21北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は20日、歴史的な南北首脳会談を目前に、そして前代未聞の米朝首脳会談を視野に入れ、核・ミサイル実験の中止と核実験場の廃棄を宣言した。北朝鮮は何を得ようとしているのか、外交専門誌「ディプロマット」編集者で全米科学者連盟(FAS)上級研究員のアンキット・パンダ氏が解説する(以下、敬称略)。北朝鮮の宣言によって、核実験や長距離ミサイル実験の中止を強調した記事見出しがたくさん飛び交うだろう。しかし、あの国が過去にどう行動してきたかを振り返り、核・ミサイル開発計画の全体像の中に今回の宣言を位置づけるなら、あまり期待し過ぎないほうが良いのかもしれない。まず、核実験について。21日に発表された声明は、金正恩が自主的に実験を凍結し、豊渓里(プンゲリ)核実験場(2006年以降6回の核実験場はすべてここで行われた)を閉鎖することにした理由を、はっきり明記している。自分たちは核実験の設計技術をマスターしたと、感じているからだ。検証するのは難しいが、これは明らかに大げさな主張ではないし、あり得ないことでもない。インドとパキスタンは1998年までに、それぞれ核実験を6回実施した。それ以降は、実験していない。そして両国とも今では核保有国のひとつに数えられているのだ。北朝鮮の場合、それに加えて、核兵器設計に関する公開情報に8年間アクセスして知識を吸収してきたわけだ。6回の核実験で、インドやパキスタンと同じくらい、自分たちの技術に自信を抱いているのだろう。「都市を破壊できる核出力」さらに微細に検討するならば、北朝鮮が2016年9月と2017年9月に実施した5回目と6回目の実験は、重要な基準点となったと言える。2016年9月の実験では、北朝鮮の国営メディアによると、通常型で小型の核装置を使用した。様々な短距離ミサイル、中距離ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な核弾頭ということだ。この核弾頭の予測核出力(爆発力)は、米国が第2次世界大戦の終盤で長崎に投下した原爆の2〜3倍かもしれない。それは、北朝鮮の目的のためには十分な威力だ。より深刻なのは、昨年9月の核実験だ。北朝鮮はこのとき、自分たちは莫大な核出力を発生させられると、実際に示したのだ。北朝鮮は当時、水爆実験に成功したと発表した。民間の専門家や各国の情報当局はいまだに、北朝鮮が本当に水爆製造技術を習得したのかどうか、合意できずにいる。しかし、昨年9月3日に観測された震動データは、北朝鮮が「都市を破壊」できるだけの威力の核装置を手に入れたと、世界が結論するに十分な情報だった。結論から言えば、金正恩が3月末に北京を訪れた時と同じだ。あの訪中は、自分の力を誇示するためだった(国外に出ても大丈夫なくらい、自分の国内権力基盤は磐石だという自信の合図だった)。今回の核実験凍結宣言もまた、金委員長の自信のほどをあらためて示している。ミサイル実験中止によるマイナスは限定的ミサイルについては、ICBMの実験をやめると金委員長は表明した。それはある意味では意外な展開だ。北朝鮮は、米国全土に核弾頭を打ち込めるICBMついては、3回しか実験していない。そしてどの実験も、実際のミサイル攻撃に必要となるものに近い軌道では、ミサイルを飛ばしていない。そのため、確かに米国本土を核ミサイル攻撃できると北朝鮮が自信を持つには、まだ発射実験が必要だろう。しかし、北朝鮮には別の考えがあるのかもしれない。たとえば、米国に脅威を与えるために必要な技術の大部分は習得したとはいえ、ミサイル発射装置の数が少ないので、ミサイル攻撃力は依然として限定的だ。今の北朝鮮にはおそらく、ICBM発射装置は6台しかない。金正恩は今年の「新年の辞」で「国家核戦力の完成という歴史的大業を成し遂げた」と宣言したものの、今後もICBM発射機の数を増やしたり、核攻撃司令・制御システムの部分部分を改良したりしようとするのではないかと思えるだけの理由は、十分にある。(リンク先に続きあり)(英語記事 Why has Kim Jong-un halted North Korean tests now?)
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【BBC寄稿】 なぜ今? 金正恩氏が核・ミサイル実験を中止表明 全米科学者連盟(FAS)上級研究員のパンダ氏
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43848336
2018/04/21
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は20日、歴史的な南北首脳会談を目前に、そして前代未聞の米朝首脳会談を視野に入れ、核・ミサイル実験の中止と核実験場の廃棄を宣言した。北朝鮮は何を得ようとしているのか、外交専門誌「ディプロマット」編集者で全米科学者連盟(FAS)上級研究員のアンキット・パンダ氏が解説する(以下、敬称略)。
北朝鮮の宣言によって、核実験や長距離ミサイル実験の中止を強調した記事見出しがたくさん飛び交うだろう。しかし、あの国が過去にどう行動してきたかを振り返り、核・ミサイル開発計画の全体像の中に今回の宣言を位置づけるなら、あまり期待し過ぎないほうが良いのかもしれない。
まず、核実験について。21日に発表された声明は、金正恩が自主的に実験を凍結し、豊渓里(プンゲリ)核実験場(2006年以降6回の核実験場はすべてここで行われた)を閉鎖することにした理由を、はっきり明記している。自分たちは核実験の設計技術をマスターしたと、感じているからだ。
検証するのは難しいが、これは明らかに大げさな主張ではないし、あり得ないことでもない。
インドとパキスタンは1998年までに、それぞれ核実験を6回実施した。それ以降は、実験していない。そして両国とも今では核保有国のひとつに数えられているのだ。
北朝鮮の場合、それに加えて、核兵器設計に関する公開情報に8年間アクセスして知識を吸収してきたわけだ。6回の核実験で、インドやパキスタンと同じくらい、自分たちの技術に自信を抱いているのだろう。
「都市を破壊できる核出力」
さらに微細に検討するならば、北朝鮮が2016年9月と2017年9月に実施した5回目と6回目の実験は、重要な基準点となったと言える。2016年9月の実験では、北朝鮮の国営メディアによると、通常型で小型の核装置を使用した。様々な短距離ミサイル、中距離ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な核弾頭ということだ。
この核弾頭の予測核出力(爆発力)は、米国が第2次世界大戦の終盤で長崎に投下した原爆の2〜3倍かもしれない。それは、北朝鮮の目的のためには十分な威力だ。
より深刻なのは、昨年9月の核実験だ。北朝鮮はこのとき、自分たちは莫大な核出力を発生させられると、実際に示したのだ。
北朝鮮は当時、水爆実験に成功したと発表した。民間の専門家や各国の情報当局はいまだに、北朝鮮が本当に水爆製造技術を習得したのかどうか、合意できずにいる。しかし、昨年9月3日に観測された震動データは、北朝鮮が「都市を破壊」できるだけの威力の核装置を手に入れたと、世界が結論するに十分な情報だった。
結論から言えば、金正恩が3月末に北京を訪れた時と同じだ。あの訪中は、自分の力を誇示するためだった(国外に出ても大丈夫なくらい、自分の国内権力基盤は磐石だという自信の合図だった)。今回の核実験凍結宣言もまた、金委員長の自信のほどをあらためて示している。
ミサイル実験中止によるマイナスは限定的
ミサイルについては、ICBMの実験をやめると金委員長は表明した。
それはある意味では意外な展開だ。
北朝鮮は、米国全土に核弾頭を打ち込めるICBMついては、3回しか実験していない。そしてどの実験も、実際のミサイル攻撃に必要となるものに近い軌道では、ミサイルを飛ばしていない。そのため、確かに米国本土を核ミサイル攻撃できると北朝鮮が自信を持つには、まだ発射実験が必要だろう。
しかし、北朝鮮には別の考えがあるのかもしれない。たとえば、米国に脅威を与えるために必要な技術の大部分は習得したとはいえ、ミサイル発射装置の数が少ないので、ミサイル攻撃力は依然として限定的だ。今の北朝鮮にはおそらく、ICBM発射装置は6台しかない。
金正恩は今年の「新年の辞」で「国家核戦力の完成という歴史的大業を成し遂げた」と宣言したものの、今後もICBM発射機の数を増やしたり、核攻撃司令・制御システムの部分部分を改良したりしようとするのではないかと思えるだけの理由は、十分にある。
(リンク先に続きあり)
(英語記事 Why has Kim Jong-un halted North Korean tests now?)