国産りんご輸出が好調で国内が手薄に…NZ産リンゴがスーパー席巻 政府の姿勢に産地から疑問の声「本末転倒だ」輸出すればするほど輸入物が増える――?。国産リンゴの輸出が好調な半面、こんな懸念が流通業界を中心に広がっている。この時期は国産リンゴの出回りが少ない上、輸出増で国内需給が逼迫(ひっぱく)、相場が高騰して安価な輸入物に関心を示す小売店が増えているためだ。既にスーパー店頭にはニュージーランド(NZ)産リンゴが並び、輸入業者は一層の需要増を見込む。産地からは「政府が輸出に力を入れ過ぎて国内が手薄になれば本末転倒だ」との声も上がっている。・「安さ」前面に急増 季節正反対 貯蔵と勝負3日午後2時。スーパーのいなげや保谷町店(東京都西東京市)の果実売り場に「JAZZ(ジャズ)」という名のリンゴが並んだ。国産よりひと回り小さいテニスボール大で4個入り498円。原産国はニュージーランドだ。国産の貯蔵「ふじ」「シナノゴールド」に比べて4割安く、「食感が良くて安い」とリピーターも多い。http://image.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2016/06/04/uid050462_2016060413394688d50d02.jpg首都圏で140店を展開する同社は、2012年からNZ産リンゴの扱いを開始。国産の貯蔵物が出回る春から秋にかけ、季節が正反対のNZ産リンゴの旬を味わってもらおうという戦略だ。年々、取扱量を増やしながら棚面積を広げ、扱う期間も延びる一方。いまや店の定番商品と化した。「国産の値が高いこともあって、(NZ産の)味を知る消費者が積極的に購入する」と言う。近年、国産リンゴの相場が上昇を続ける背景には、好調な輸出事情がある。青果物の主力である国産リンゴの輸出額は12年以降増え続け、15年は133億円と14年の1.6倍になった。今年も1〜4月で前年を上回り過去最高を更新する勢いだ。特に顕著なのは5〜8月で、日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)によると、15年は平年の2〜4割高を記録した。こうした国産の相場高を見据えて一定の需要を確保したNZ産。輸入業者は「仮に今の10倍の量が入ってきたとしても売り切れるだろう。需要は爆発的に高まっている」と見通す。NZ産が日本で着実にシェアを広げる中、それでも政府は日本産の輸出拡大路線を突き進む。「農林水産業の輸出力強化戦略」の中で、国産リンゴのターゲットを富裕層から中間層まで拡大。値頃感をアピールしようと小玉を3〜11月に輸出する計画だ。国産の出回りがさらに減り5〜8月の相場が高騰しかねないが、内閣官房農林水産業輸出力強化等推進室は「輸出で減る分は生産振興でカバーすればいい。国内の流通量が大幅に減り、需給バランスが崩れるとは考えにくい」と楽観視する。こうした政府の姿勢に産地からは疑問の声が上がる。リンゴの主産地、青森県のJAは「生産振興というが、後継者不足や高齢化で栽培面積は毎年落ち込んでいる。そう簡単にこうした問題を解決できるのか」と問う。仮に政府の生産振興がスムーズに進んだとしても、「このまま好調な輸出が続く保証はない。輸出分が国内市場であふれかえれば、相場は大変なことになる。農家の所得は下がりかねない」と気をもむ。環太平洋連携協定(TPP)への懸念も大きい。リンゴの生果は発効から11年目で無税となる。TPPの影響試算を行う静岡大学の土居英二名誉教授は「NZ産のリンゴの出回りがTPPの発効でさらに増えることは間違いない。政府は輸入と国産はすみ分けできると説明しているが、現実は違う」と指摘する。財務省の貿易統計によると国産リンゴの輸出量は13年以降、右肩上がりで上昇を続ける。14年は2万4118トン、15年には3万4678トンに上った。一方、NZ産の輸入量は11年の142トンから14年の2563トンと、ここ3年で18倍に急増。15年は病害虫の影響で輸入量は減ったが、「影響は一時的で、今後も増加傾向は変わらない」(輸入業者)と言う。日本農業新聞http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37768
国産りんご輸出が好調で国内が手薄に…NZ産リンゴがスーパー席巻 政府の姿勢に産地から疑問の声「本末転倒だ」
輸出すればするほど輸入物が増える――?。
国産リンゴの輸出が好調な半面、こんな懸念が流通業界を中心に広がっている。
この時期は国産リンゴの出回りが少ない上、輸出増で国内需給が逼迫(ひっぱく)、
相場が高騰して安価な輸入物に関心を示す小売店が増えているためだ。
既にスーパー店頭にはニュージーランド(NZ)産リンゴが並び、輸入業者は一層の需要増を見込む。
産地からは「政府が輸出に力を入れ過ぎて国内が手薄になれば本末転倒だ」との声も上がっている。
・「安さ」前面に急増 季節正反対 貯蔵と勝負
3日午後2時。スーパーのいなげや保谷町店(東京都西東京市)の果実売り場に
「JAZZ(ジャズ)」という名のリンゴが並んだ。
国産よりひと回り小さいテニスボール大で4個入り498円。原産国はニュージーランドだ。
国産の貯蔵「ふじ」「シナノゴールド」に比べて4割安く、「食感が良くて安い」とリピーターも多い。
http://image.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2016/06/04/uid050462_2016060413394688d50d02.jpg
首都圏で140店を展開する同社は、2012年からNZ産リンゴの扱いを開始。
国産の貯蔵物が出回る春から秋にかけ、季節が正反対のNZ産リンゴの旬を味わってもらおうという戦略だ。
年々、取扱量を増やしながら棚面積を広げ、扱う期間も延びる一方。いまや店の定番商品と化した。
「国産の値が高いこともあって、(NZ産の)味を知る消費者が積極的に購入する」と言う。
近年、国産リンゴの相場が上昇を続ける背景には、好調な輸出事情がある。
青果物の主力である国産リンゴの輸出額は12年以降増え続け、15年は133億円と14年の1.6倍になった。
今年も1〜4月で前年を上回り過去最高を更新する勢いだ。
特に顕著なのは5〜8月で、日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)によると、15年は平年の2〜4割高を記録した。
こうした国産の相場高を見据えて一定の需要を確保したNZ産。
輸入業者は「仮に今の10倍の量が入ってきたとしても売り切れるだろう。需要は爆発的に高まっている」と見通す。
NZ産が日本で着実にシェアを広げる中、それでも政府は日本産の輸出拡大路線を突き進む。
「農林水産業の輸出力強化戦略」の中で、国産リンゴのターゲットを富裕層から中間層まで拡大。
値頃感をアピールしようと小玉を3〜11月に輸出する計画だ。
国産の出回りがさらに減り5〜8月の相場が高騰しかねないが、
内閣官房農林水産業輸出力強化等推進室は「輸出で減る分は生産振興でカバーすればいい。
国内の流通量が大幅に減り、需給バランスが崩れるとは考えにくい」と楽観視する。
こうした政府の姿勢に産地からは疑問の声が上がる。
リンゴの主産地、青森県のJAは「生産振興というが、後継者不足や高齢化で栽培面積は毎年落ち込んでいる。
そう簡単にこうした問題を解決できるのか」と問う。
仮に政府の生産振興がスムーズに進んだとしても、「このまま好調な輸出が続く保証はない。
輸出分が国内市場であふれかえれば、相場は大変なことになる。農家の所得は下がりかねない」と気をもむ。
環太平洋連携協定(TPP)への懸念も大きい。リンゴの生果は発効から11年目で無税となる。
TPPの影響試算を行う静岡大学の土居英二名誉教授は「NZ産のリンゴの出回りがTPPの発効でさらに増えることは間違いない。
政府は輸入と国産はすみ分けできると説明しているが、現実は違う」と指摘する。
財務省の貿易統計によると国産リンゴの輸出量は13年以降、右肩上がりで上昇を続ける。
14年は2万4118トン、15年には3万4678トンに上った。
一方、NZ産の輸入量は11年の142トンから14年の2563トンと、ここ3年で18倍に急増。
15年は病害虫の影響で輸入量は減ったが、「影響は一時的で、今後も増加傾向は変わらない」(輸入業者)と言う。
日本農業新聞
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37768