>>60【経済】遺骨は“郵送”、僧侶は“Amazon” 今どきの「墓・葬式事情」「自然葬」を希望が2割、「葬式不要」が3割──。家族形態の変化も影響し、墓と葬式に対する伝統的な意識が薄れており、簡素化と多様化が進む。5月のある日、東北地方に住む85歳の田野陽子(仮名)は埼玉県熊谷市にある寺、見性院を訪ねた。「送骨」、つまり郵送(ゆうパック)で遺骨を送れば、墓の継承者がいなくても永代供養してくれるサービスがあると聞き、永代供養塔などをその目で確認したかったのだ。田野は、今ある墓を処分する「墓じまい」を考えている。実家は何百年と続く旧家。旧墓と新墓があり、旧墓はすでに整理した。問題は新墓だ。そもそも、子供たちは地元を離れており、将来にわたって墓の世話をすることは大変だろう。それならば、墓じまいして、墓の引っ越しである「改葬」を行いたい。墓に入った8人分の遺骨を見性院に送骨し、永代供養を頼みたいと考えている。旧家の墓の歴史を自分の代で終わらせることにちゅうちょはあるが、実家のある土地に対して思い入れがない自分だからこそ可能だ。子供の代に負担を押し付けるのは申し訳ない。見性院の住職である橋本英樹は、近年、「送骨が急激に増えてきた」と言う。背景に田野のような改葬ニーズの高まりがある。見性院では、永代供養自体は2009〜13年の5年間で145件だったが、14年は年間133件、15年は270件と倍増。今年は7月までで256件。倍々ゲーム状態である。このうち、送骨によるものはサービスを開始した15年に114件。今年はすでに67件で昨年を上回りそうだ。写真:見性院の永代供養サービスは郵送で納骨を受け付け、3万円で永代供養するhttp://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/a/600/img_ca42ea46653f83e0beec57874eb8168b395981.jpg田野は小さいころから、郷里で墓参りに連れていかれていた。今も1年に1回、帰郷して墓参りする。でも、無信仰で「人間は細胞でできていて、焼いたら無になる」と考えており、墓に特別な思い入れはない。郷里の寺は観音像を建てる等々、何かにつけて金銭を無心してくるので、むしろ嫌気が差している。寺院業界は檀家離れやお布施の減少による収入減などで生き残りが厳しい。そんな中で金もうけに長け、高級車を乗り回したり、高級時計を着けて法事に来る僧が相変わらずいる。職業化した僧に、現代人は法力を感じられなくなっている。不透明な戒名代や法事費用なども現代人の感覚に合わない。そうした変化を捉えて、明朗会計で低料金の葬儀プランを販売する葬儀仲介会社が勢力を強めている。その一つであるみんれびは、僧侶手配サービス「お坊さん便」をインターネット通販大手アマゾンで販売して話題を呼んだ。お布施は定額表示。葬儀や法事の際は檀家でなくても、クリックで注文すれば僧侶が来てくれる。週刊ダイヤモンド1万人調査では、墓や葬式に対する伝統的な意識が薄れ、選択肢は多様化し、自由度は高まり、そして簡素化に向かっていることがうかがえる。そこには家族形態の変化の影響も大きい。過去1年以内に墓参りした人は67.0%。過半が墓参りしている一方で、58.4%は祖父母の名前を全員は言えない。墓参りする対象も古来の「家系代々の先祖」は26.6%にとどまり、「自分の親など特定の顔の見える故人」25.0%とほぼ同じ。旧来の家意識が薄れている。http://dol.ismcdn.jp/mwimgs/9/4/-/img_94b34cb541187329e82e74dc032c803a136252.jpgつづく
>>60
【経済】遺骨は“郵送”、僧侶は“Amazon” 今どきの「墓・葬式事情」
「自然葬」を希望が2割、「葬式不要」が3割──。
家族形態の変化も影響し、墓と葬式に対する伝統的な意識が薄れており、簡素化と多様化が進む。
5月のある日、東北地方に住む85歳の田野陽子(仮名)は埼玉県熊谷市にある寺、見性院を訪ねた。
「送骨」、つまり郵送(ゆうパック)で遺骨を送れば、墓の継承者がいなくても永代供養してくれるサービスがあると聞き、永代供養塔などをその目で確認したかったのだ。
田野は、今ある墓を処分する「墓じまい」を考えている。
実家は何百年と続く旧家。旧墓と新墓があり、旧墓はすでに整理した。問題は新墓だ。
そもそも、子供たちは地元を離れており、将来にわたって墓の世話をすることは大変だろう。
それならば、墓じまいして、墓の引っ越しである「改葬」を行いたい。
墓に入った8人分の遺骨を見性院に送骨し、永代供養を頼みたいと考えている。
旧家の墓の歴史を自分の代で終わらせることにちゅうちょはあるが、実家のある土地に対して思い入れがない自分だからこそ可能だ。
子供の代に負担を押し付けるのは申し訳ない。
見性院の住職である橋本英樹は、近年、「送骨が急激に増えてきた」と言う。
背景に田野のような改葬ニーズの高まりがある。
見性院では、永代供養自体は2009〜13年の5年間で145件だったが、14年は年間133件、15年は270件と倍増。
今年は7月までで256件。倍々ゲーム状態である。
このうち、送骨によるものはサービスを開始した15年に114件。今年はすでに67件で昨年を上回りそうだ。
写真:見性院の永代供養サービスは郵送で納骨を受け付け、3万円で永代供養する
http://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/a/600/img_ca42ea46653f83e0beec57874eb8168b395981.jpg
田野は小さいころから、郷里で墓参りに連れていかれていた。今も1年に1回、帰郷して墓参りする。
でも、無信仰で「人間は細胞でできていて、焼いたら無になる」と考えており、墓に特別な思い入れはない。
郷里の寺は観音像を建てる等々、何かにつけて金銭を無心してくるので、むしろ嫌気が差している。
寺院業界は檀家離れやお布施の減少による収入減などで生き残りが厳しい。
そんな中で金もうけに長け、高級車を乗り回したり、高級時計を着けて法事に来る僧が相変わらずいる。
職業化した僧に、現代人は法力を感じられなくなっている。
不透明な戒名代や法事費用なども現代人の感覚に合わない。
そうした変化を捉えて、明朗会計で低料金の葬儀プランを販売する葬儀仲介会社が勢力を強めている。
その一つであるみんれびは、僧侶手配サービス「お坊さん便」をインターネット通販大手アマゾンで販売して話題を呼んだ。
お布施は定額表示。葬儀や法事の際は檀家でなくても、クリックで注文すれば僧侶が来てくれる。
週刊ダイヤモンド1万人調査では、墓や葬式に対する伝統的な意識が薄れ、選択肢は多様化し、自由度は高まり、そして簡素化に向かっていることがうかがえる。
そこには家族形態の変化の影響も大きい。
過去1年以内に墓参りした人は67.0%。過半が墓参りしている一方で、58.4%は祖父母の名前を全員は言えない。
墓参りする対象も古来の「家系代々の先祖」は26.6%にとどまり、「自分の親など特定の顔の見える故人」25.0%とほぼ同じ。
旧来の家意識が薄れている。
http://dol.ismcdn.jp/mwimgs/9/4/-/img_94b34cb541187329e82e74dc032c803a136252.jpg
つづく