【運転】高齢者免許証返上の後は…調べてみたら“老老輸送”の厳しい現実 調べてみたら“老老輸送” 高齢ドライバーの事故が相次ぎ、警察は、運転に不安を感じているお年寄りに運転免許証を自主返納するよう呼びかけています。しかし免許証を返納したあとの生活はどうなるのか。それを取材しようと訪れた町で見たのは“老老輸送”。お年寄りがお年寄りを運ぶ、厳しい現実でした。(高知放送局記者 宗像玄徳) 訪れたのは、高知県西部の山あいにある梼原町。ここでは、NPO法人に登録した住民がドライバーになって地域のお年寄りを車で病院や買い物に連れて行くサービスを行っています。 「公共交通空白地有償運送」という国の制度に基づいて行われていて国は、公共交通が不十分な地域に限ってNPO法人などに登録した住民ドライバーが自家用車などを使って住民を運ぶことを認めているのです。 サービスを行っているのはNPO法人の代表、矢野豪佑さん。矢野さんの元には車を利用したいお年寄りから、実に年間およそ1000件の電話がかかってくるのです。 ■公共交通は1日バス2便 地区の唯一の公共交通は路線バスです。それも平日は1日2便、休日は1便だけ。タクシー会社もありません。 地区のおよそ65%が65歳以上で運転免許を返納する人も多く、住民ドライバーが交通手段のよりどころになっていました。 ■高齢化するドライバー ところが今、住民ドライバー自身の高齢化が問題になっています。矢野さんは、ことし2月、ある相談をしようとドライバーに集まってもらいました。集まったドライバーたちに年齢を聞くと、1人目は「69歳です」、2人目も「おなじく69歳です」。 NPOは、協力隊員の募集要項に移住後に携わる仕事として「高齢者の移動支援」を明記しました。 去年の夏に大阪の堺市から移住してきた38歳の岸下勝幸さんは、移住後の仕事が明記されていたことが移住の決め手になったと言います。 18人いるドライバーのうち、13人が65歳以上でした。6人は、ことし70歳を超え、NPOが定めるドライバーの年齢の上限に達します。 サービスを維持するため、矢野さんは年齢制限を5歳引き上げると提案したのです。ところが返ってきたのは、「自信がなくなってきた」「目がね、すごい疲れる」「お客さんを乗せて帰ってくるとものすごい疲れますね」という不安の声ばかり。 ■不安あっても辞められない 不安があってもドライバーを辞められないと話す石川昇さん(69)の仕事に同行させてもらいました。40年近くバスの運転手を務め、運転には自信がある石川さんも年齢とともに不安を感じるようになってきたと言います。 車で迎えに行ったのは下村芳子さん(87)です。病院やスーパーが20キロ近く離れているため通院や買い物の際は石川さんの車が頼りです。スーパーでは、1週間分の食料を買いだめし、食料でいっぱいになった袋を車に運ぶのも石川さんに手伝ってもらっています。車を運転していた夫が去年、亡くなり、下村さんにとっては石川さんの車以外に移動手段がありません。 石川さんは「体力的にはしんどいですが、頼りにされているのでドライバーを辞めるとはなかなか言い出せないです」と揺れる思いを話してくれました。 NPOの代表の矢野さんは「高齢ドライバーの事故が増えている中で今の状態を改善したいが、地区には、若い人がいないので難しいのが現状です」と話しています。 続く
【運転】高齢者免許証返上の後は…調べてみたら“老老輸送”の厳しい現実
調べてみたら“老老輸送”
高齢ドライバーの事故が相次ぎ、警察は、運転に不安を感じているお年寄りに運転免許証を自主返納するよう呼びかけています。しかし免許証を返納したあとの生活はどうなるのか。それを取材しようと訪れた町で見たのは“老老輸送”。お年寄りがお年寄りを運ぶ、厳しい現実でした。(高知放送局記者 宗像玄徳)
訪れたのは、高知県西部の山あいにある梼原町。ここでは、NPO法人に登録した住民がドライバーになって地域のお年寄りを車で病院や買い物に連れて行くサービスを行っています。
「公共交通空白地有償運送」という国の制度に基づいて行われていて国は、公共交通が不十分な地域に限ってNPO法人などに登録した住民ドライバーが自家用車などを使って住民を運ぶことを認めているのです。
サービスを行っているのはNPO法人の代表、矢野豪佑さん。矢野さんの元には車を利用したいお年寄りから、実に年間およそ1000件の電話がかかってくるのです。
■公共交通は1日バス2便
地区の唯一の公共交通は路線バスです。それも平日は1日2便、休日は1便だけ。タクシー会社もありません。
地区のおよそ65%が65歳以上で運転免許を返納する人も多く、住民ドライバーが交通手段のよりどころになっていました。
■高齢化するドライバー
ところが今、住民ドライバー自身の高齢化が問題になっています。矢野さんは、ことし2月、ある相談をしようとドライバーに集まってもらいました。集まったドライバーたちに年齢を聞くと、1人目は「69歳です」、2人目も「おなじく69歳です」。
NPOは、協力隊員の募集要項に移住後に携わる仕事として「高齢者の移動支援」を明記しました。
去年の夏に大阪の堺市から移住してきた38歳の岸下勝幸さんは、移住後の仕事が明記されていたことが移住の決め手になったと言います。
18人いるドライバーのうち、13人が65歳以上でした。6人は、ことし70歳を超え、NPOが定めるドライバーの年齢の上限に達します。
サービスを維持するため、矢野さんは年齢制限を5歳引き上げると提案したのです。ところが返ってきたのは、「自信がなくなってきた」「目がね、すごい疲れる」「お客さんを乗せて帰ってくるとものすごい疲れますね」という不安の声ばかり。
■不安あっても辞められない
不安があってもドライバーを辞められないと話す石川昇さん(69)の仕事に同行させてもらいました。40年近くバスの運転手を務め、運転には自信がある石川さんも年齢とともに不安を感じるようになってきたと言います。
車で迎えに行ったのは下村芳子さん(87)です。病院やスーパーが20キロ近く離れているため通院や買い物の際は石川さんの車が頼りです。スーパーでは、1週間分の食料を買いだめし、食料でいっぱいになった袋を車に運ぶのも石川さんに手伝ってもらっています。車を運転していた夫が去年、亡くなり、下村さんにとっては石川さんの車以外に移動手段がありません。
石川さんは「体力的にはしんどいですが、頼りにされているのでドライバーを辞めるとはなかなか言い出せないです」と揺れる思いを話してくれました。
NPOの代表の矢野さんは「高齢ドライバーの事故が増えている中で今の状態を改善したいが、地区には、若い人がいないので難しいのが現状です」と話しています。
続く